幼馴染から渡されたチョコとラブレター、くれた人は別だった。

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 ヒナコはしばらく黙り込んだ。一応、それが僕らの破局の一端を担ったことは伝わったらしい。ごめん、という言葉を付けて、彼女は答えた。 「……昔……ずっと前。小学校の、遠足で……あたしお弁当袋まるごと忘れて。……リョータ全部わけてくれたやん。おやつまで全部」 「ああ? ああ、んん。そんなんあったかな」 「それのこと」  ああそう、としか返せない。 「ほな、かっこいいとか面白いとかはなんや」 「…………主観や」  ああそう、としか返せない。  僕はしばらく、言葉を失くしていた。  ヒナコはもう一度、ゴメンと謝った。 「あたしが、あんたのことそんなふうにしゃべったから、エミカちゃんは舞い上がってしもてんな。リョータのことなんにもよう知らないうちにイケメンが出来上がってしもて。ほんまごめん。あたし……あほやね」  僕は立ち止まった。  ヒナコを振り返り、小首をかしげて見せる。腰に手を当て、眉をよせて言った。 「ほんまやで。あほちゃうん?」 「ひゃはっ」  ヒナコは笑った。自分のクセを知っていたらしい。僕の似ていないモノマネで、腹を抱え、ポニーテイルを揺らして笑うヒナコ。僕はそのまま続けていった。 「昨日の夜、おまえんちのポストに手紙いれといたからな。ガッコ帰ったら読めよ」 「えっ? なに」     
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