倥なるは愚かなり

13/15
前へ
/15ページ
次へ
「……やっぱり、いいものだな」  言って、机にうなだれた。それから、緩んでいく頬を必死で制御しながら、空になったティーカップを洗いに行く。  こんなにも浮かれた日は初めてだ――彼女は文字通り浮いているが、これでは僕も浮いてしまいそうになる。  有り体に言って、嬉しかったのだ。  例え自分が許されない存在でも、嬉しかったのだ。 「……そういえば、あの子、お菓子食べなかったな」  ティーカップをしまいながら、独り呟いた。 **********
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加