鈴木義男

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「ゲホッ、ゲホッ…」 苦しみに悶えながら棚に手をのばし、プラスチックの容器を取る。 ステロイドを吸ってもまだ苦しいままだ。酸素が急激に薄れ、瞼の裏が明滅する。 「パパ!大丈夫?」 ドアが勢いよく開き、娘の絵梨香が飛びこんで来た。背中に手を当て、さすってくれる。 「ママ、呼んでこようか?」 「いや、平気だ…」 さすられた背を丸め、懸命に吸っているとようやくステロイドが効いてきた。
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