鈴木義男

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かくして家の中にいる日々が続いた。知らぬ間に疲れが溜まっていたのか気道の炎症とやらに加え慢性的なだるさと微熱まで出始め、一昨日からほとんどベッドで横になっている。 「じゃあ行って来るわね」 開けっ放しのドアの向こうから妻の由梨が手を振った。元々共働きではあるが、会社で倒れて以来ずっと休んでいる俺に代わって由梨ばかりに働かせてしまっている。 「ほら絵梨香、そろそろ学校に行く時間でしょ」 「あ、うん!」 療養といえど、妻と娘が会社と学校に行くのを横目に、二人を養う立場であるはずの俺が家の中で寝ているだけというのはなんとも心苦しいものだ。
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