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「いやん、バレちゃった」
………そんなテヘペロみたいな顔して許されると思ってんじゃねぇよ!?
扉の向こう、つまり姉の部屋の概要はこう、ハンガーで掛けられた学ランの上、床に置かれた学ランの下、作業中のミシン、そこにはよく分からんポーチっぽい小物、そんで振り返っててへぺろ顔する姉、特記事項は以上!
あっ!待った!学ラン上が既に手遅れだ!!
どーするよコレ、なんかベーシックなただの学ランが、なんということでしょう、匠の御業により二次元衣装に見事なリフォーム!我が母校の校章が彫られたボタンは外され、ゲーム内の学園の校章ボタンに総入れ替え、さり気なくポケットには金糸で刺繍のワンポイント。これに姉がウィッグ、化粧で学ラン着崩せばメインヒーローに早変わり!!クオリティ高めでお送りさせていただきます。って俺の思い出詰まった学ランっ!!もう別物じゃねーか!!
俺明日これ着るの!もう俺の学ランじゃ無くなってるけどこれ着るの!?
「だぁいじょうぶよ、ほら、学ランなんてほとんどカタチ一緒なんだからこれくらいいじったぐらいじゃ違和感ないって!」
だっていじったのボタンとその刺繍だけよ?
そう言って姉は『学ラン』で検索し画像を見せつけてくる。確かに、どれもほとんど同じに見える。黒の普通のだからいけるか?これ。
悶々とする俺に、「来て」っと声をかけ、唐突に部屋を出る姉。ついて行った先はリビングで。
「それにね…………さすがに今回は姉ちゃんも悪いことしたかなーって思ったからさ。」
ガサゴソと引き出しから取り出した封筒を俺にすっと差し出して渡される。中を確認するとそこには10000と描かれた商品券。
1万円!!!!
学生の俺にはなんと魅力的な金額だろう!
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