金にのせられた俺の失敗

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浴びるように酒を飲みフラフラになりながらも家にたどり着いた深夜2時、玄関を開けると、タッタッタッと足早に学ラン姿っていうか男装コスプレ姿の姉が現れる。 「えぇー?友則学ラン脱いじゃってるじゃん!何脱いでんのよ、ほら!早く着て!」 家の中に引きずりあげられせっかく着替えた普段着を剥ぎ取られる。姉ちゃん、弟とはいえ年頃の異性をそんな一気にパンツ一丁まで剥ぎ取る?普通?だから彼氏長続きしねぇんだよ。 何かを察知したのか飛んでくる鋭い視線。今何考えたって?いえいえ、何も考えてませんよ。ええホントに……………はぁ。 もうどうにでもなれと再び学ランを装備した俺は女王、いや、お姉様の次の司令を待つ。 何やらガサゴソとカメラをセッティングしているようだがもう早く俺を解放してくれ、ってか気持ち悪くなってきた、あー酒飲みすぎたかも。 気持ち悪さを自覚した瞬間。 さっ、と姉ちゃんに腕を引かれ3人がけのソファに背中からダイブ。 え? 状況に追いつけない俺を置いて姉は淀みなく動き続けており、両手首がまとめられ、頭上に、足の間に姉の膝が入れられ片方の足はソファの下に落とされ、片膝は立てた状態で固定。傍から見ればさ、コレ、俺襲われそうになってるよね? 俺の上にのしかかった姉ちゃんは俺の首付近に顔を寄せ、カメラ目線。 そして響くカメラの連写音。タイミング完璧ですね、流石です。 多分、2秒ほどなり続けたシャッターは唐突に静まり、身を起こした姉はカメラチェックに向かう。そして俺は気分不良によりトイレへダッシュ。ああ全部出たよ多分。もったいねぇ。 ほうほうのていでリビングに戻ると幸せオーラ全開の姉が待機していた。 「友則、吐いちゃったの?学ラン汚してないよね?」 姉ちゃん、せめて欠片でも俺の心配もしてくれよ。 やるせない気持ちを抱える俺を他所に汚れの有無をチェックし終えた姉は、よしっ、と呟くと、そっと元から用意してあったのであろう見覚えのある封筒を俺に差し出す。
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