親友

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 クラスメイトの神崎が近くにいる時、私の親友の瑠衣は決まって顔を背ける。  傍目から見たら嫌っているかのような態度だ。でもそうではないことは、私が一番よく知っている。  今だってそうだ。瑠衣と私が同じ机でお昼を食べている時。神崎が近くを通っただけなのに、瑠衣は不自然なほど急に私の方を向いた。  そういえば、と私に脈略のない会話を振ってくるものだから、思わずくすりと笑いそうになってしまう。  瑠衣の頬はほんのりと赤く染まっていて、ひどく落ち着かない様子だ。  まさに恋しているといった雰囲気を、高校生にもなってこんなにも分かりやすく表に出すなんて。 「瑠衣ってほんと、顔に出やすいよね」  神崎が離れたのを見計らって、小さな声でからかうように言うと、瑠衣は少しむっとしたように首を降った。  それから少し自虐気味に笑う。 「でも知ってるのは、美菜だけだし」  それはそうだけど、と私も少し苦笑する。  正確に言うと、私くらいしか話す相手がいないのだ。  こう言ってはなんだけど瑠衣は友だちが私の他にいないから、好きな人だなんていう特別プライベートなことを知っているのは、必然的に私だけということになる。 でも私だって友だちというと、パッと思い浮かぶのは瑠衣くらいだからおあいこだ。 「ねえ、どの辺が好きなの?」  昼休みのざわめく教室の中ならこんな質問をしても誰にも聞かれやしない。  私は弁当に残ったプチトマトを箸でつつきながら、にやにやと瑠衣の顔を眺めた。 「どの辺って……全体的に」  私の席の前の椅子に座り、売店で買った焼きそばパンを齧っていた瑠衣が思わずといった風に答えてくれた。  私の興味津々の目から逃れるように、瑠衣は恥ずかしそうに目を逸らした。
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