親友

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「アイス買おうよ、アイス」  私が弾んだ声で言って、瑠衣も暑さには参っていたのか即座に頷いてくれた。  瑠衣はすぐにソーダ味のアイスを選んで、私は瑠衣に呆れられるほど悩む。 「美奈はいつも迷うなぁ」 「だってお小遣いのこと考えると、一ヶ月の間に買えるアイスの数なんて限りがあるよ。慎重に決めないと」  王道のチョコ味にしようかそれとも期間限定のマンゴー味にしようかと悩みながら、私のも一口あげるからソーダ味も一口ちょうだいと瑠衣にねだっていた時だ。  ぴろん、と自動ドアが開く時の間の抜けた音が鳴って、誰かが店に入って来たことに気づいた。  この時間帯は学生がよく来ると知っているから、横目でちらりと見た制服に見覚えがあっても気に留めなかったのだけど、向こうから声をかけられてひどく驚いた。  田辺?と瑠衣の名字を呼ぶその声は、瑠衣がいつも耳を澄ませて聞いている声で、私は不恰好なほど勢いよくそちらを向いてしまった。 「あ、やっぱり田辺と安藤さんだ。ちょっと意外だなぁ。買い食い?」  そこにはやっぱり制服を少しも着崩していない神崎がいた。
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