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神崎がコンビニにいる方が意外だと思っていると、シャーペンの芯を買いに来たんだと教えてくれた。つくづく意外性もなく真面目そうな人だ。
せっかく神崎から話しかけられているというのに、瑠衣はびっくりするほど話さなくて、ああとかうんとか短く答えるばっかりだった。途中からは私の方が話していたほどだ。
なんとなく会話を切り上げて三人一緒にコンビニを出ると、忘れかけていた暑さが襲ってきて私たちは揃って顔をしかめた。
「サウナみたい」
瑠衣の呟きに神崎がわざとらしいくらい大げさに笑って、本当にサウナみたいだと言ってくれた。
それじゃあまた明日、と自転車に乗って帰っていく神崎の背中を瑠衣は見つめていた。
「ほら、私がどのアイスにしようかって悩んでてよかったでしょ」
こんな機会でもなきゃゆっくり話せないもんね、と少し恩着せがましく言うと驚くことに瑠衣は少しも反論しなかった。
それどころか袋から出したばかりのソーダアイスを私の目の前に突きつけてきた。
「二口食べていいよ」
ありがたくいただくことにした。親友の間に遠慮は無用なのだ。
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