親友

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「え、うそ。あ、いたっ」  顔を上げた瞬間に、ぐっと押すと大袈裟な声が上がって私はつい声を上げて笑ってしまった。 「見てないじゃん、嘘つき」 「嘘じゃないって。さっき見てたもん」  本当に、騒いでる私たちを神崎がちらりと見たのだ。まあほんの一瞬のことだけど、嘘ではない。 「……本当に見てたの?」  ストレッチが終わって立ち上がったところで瑠衣が近くに寄って小声で尋ねてきた。  ほとんど同じ目線で私の目を覗き込みつつも、ちらちらと神崎を見る瑠衣がなんだか可愛くって、どこも変なとこないから大丈夫だよとぽんと肩を叩いた。  瑠衣が落ち着かない様子で指先で髪をいじっている。さらさらとした黒髪は短いこともあってか癖が少しもなくて、癖っ毛の私はいいなぁと昔から何度目かの羨ましさを感じた。  みんなのストレッチが終わった辺りで体育委員が近くに集まるように指示をした。長ったらしい説明のチーム分けなんかを聞いて、最初の試合は待機だった私と瑠衣が端に寄ることにした。  人数多いから、なかなか順番が回ってこないからラッキーだと瑠衣と話していると、あからさまにこちらを見ながらひそひそと話している女子を見つけて、思わずため息を吐いてしまった。  私に聞こえようにだろう。わざとらしく声を大きくして、あの二人いっつも一緒だよね、なんて悪口になってなくて笑ってしまう。仲のいい人と一緒にいるのが、そんなに羨ましいのだろうか。
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