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数キロ先どころではない最果ての国にまで一瞬で行けるなど、思いもよらなかったのである。
「この国で盛大なる婚約式とともに、ラフィリルとの絆が深まるこの婚姻の祝いに、恩赦を!」
「なっ!」キリアク王は驚き、ルークの瞳を覗き込む。
「ま、まさか、ルーク殿はザッツとローディを助ける為に婚約式をこの国で?」
「いいえ、それこそ、まさかですよ。わたしはイリューリアの父君カルム宰相の為、ひいては父親想いのイリューリアの為にこの国でと思っただけです。しかし我が国の月の主や精霊様方まで招くのですから、国をあげて祝っていただかないと格好がつきませんし、恩赦くらいは普通かなと思ったまでです」
「し、しかしあの者達の所業は…」
「そうですね、許せるものではありませんが、命を落とさねばならぬほどのものではありませんね。別に彼らは誰かを殺めた訳でも陥れた訳でもありませんしね。まぁ、イリューリアに対するあれは、うっかりすれば陥れたと取られても仕方ない部分もありましたが…悪意があった訳でもないようですし…最悪の事態は回避できましたしね」
「め…面目ない」
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