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「いえ、失礼しました。決してキリアク王を責めている訳では…」と笑う。
「ただ、さすがに諸外国の手前、無罪放免という訳にも参りませんでしょう?どうでしょう?身分剥奪国外追放という形でラフィリルの学院への留学を考えてみられては…まだお若いのですし…。ザッツ将軍もまた、身分剥奪追放という形で、ダルタス将軍の下に兵士として預けおくのは如何でしょう?」
「そ!それは真ですか?」
キリアク王は涙ぐんで喜んだ。
命が助かるばかりではなく、やり直す機会をルーク魔導士は与えてくれるというのである。
願ってもない申し出である。
「実は王妃が、園遊会を終えた後から寝込んでしまって…気丈にはしていても、あれも息子の極刑は受け入れがたかったのでしょう。王妃にこの事を伝えてやっても?」
「ええ、もちろんですとも!では、私のお願いは聞き入れて頂けると思ってよろしいですか?ぜひ、イリューリアの為にもこちらで婚約式を」
「もちろんです…もちろんですとも!」キリアク王は感激の涙にうち震えながらルークの手を取り頭を何度も下げた。
「どうか、頭をおあげください。お願い事をしたのは、わたしの方なのですから」と、優しく笑った。
「いや、どれだけ感謝しても足りないくらいです」とキリアクは、言ってまた頭を下げた。
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