068.ルークの気がかりと決意

2/5
前へ
/290ページ
次へ
 気にしないようにするだけである。  つまりどんなに耳をふさいでいても、耳元で怒鳴られれば嫌でも聞こえてしまうという状態である。  逆をいうと本人すら意識してない言葉等はある程度無視できるのだが…。  ルークにとっては聞こえてしまう事が普通なのだが、そんなのを受け入れてくれる人間などいる筈も無いと理解している。  このことを知るのは、ラフィリルの大神殿長であるデュムトリア老師と月の石の主、ルミアーナくらいである。  老師は同じ力を持つ唯一の血族であり神殿預けになっていた頃の育ての親である。  老師とは、ある意味、実の親以上の心の関わりと絆である。  ルミアーナは…本気であまり気にしていない。  さすがは”月の石の主”というか…大物である。  本当に、()()()()()気にしてないのだ。  彼女の場合は規格外すぎて、悩むのが馬鹿らしくなってくる。  そんな豪快さを、あの可憐で繊細そうなイリューリアに求められる筈もないだろう。  この事を知ったら彼女はどう思うだろう。  怯えるかもしれない…  自分の事を化け物のように感じられてしまうかもしれない。  そんな事を考えてぞっとした。     
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

707人が本棚に入れています
本棚に追加