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008.イリューリアの思いこみ
クーガン公爵…王弟ザッツはイリューリアの頬にそっと触れ顔を自分にむけさせた。
イリューリアは驚き、耳まで真っ赤になり焦って口ごもった。
「えっ!あ、あの…クーガン公爵様…」
「ん?」
「お手…が…あのっ…お顔が近くて…」とそっと体を離そうとすると、反射的にザッツは左手をイリューリアの腰にまわしぐっと引き寄せた。
ちなみに右手はイリューリアの頬に触れたままである。
「きゃっ」と小さな声をあげてバランスを崩したイリューリアはザッツの逞しい胸にぶつかりそうにになった。
イリューリアの顔はますます真っ赤になりまるで熟れた林檎のようである。
「くくっ、すまない。わたしが怖いか?だが、どうか逃げないでもらいたい…私は貴女とまだ一緒にいたいのだ」
あまりにも初心で可愛らしい反応のイリューリアにザッツは笑みをこぼしつつ、怖がらせないようにと体を離した。
イリューリアは、ザッツの少し無遠慮ともとれる乱暴な振る舞いにうろたえ驚いたが親戚筋と言う事もあってか、それほどまでに恐ろしいとは感じなかった。
どことなく父と似ているせいもあっただろう。
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