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これまで親しい付き合いはなかったとはいえ何といっても父とこの公爵は従兄弟にあたるのである。
「そ、そんな…怖いだなどと…。でも何故?クーガン公爵様でしたら私などよりもっと美しくて素敵なお話し相手が…あ、もしかして父に頼まれたのでしょうか?」
ふいに、そんな考えが浮かんだ。
そうだ!社交界が初めての自分を心配した父が従弟でもあるクーガン公爵に娘のお守を頼んだに違いない!
いきなり、こんなに大人で素敵な人がそもそも自分のような『貧相な娘』にダンスを申し込むこと自体ありえないではないかと確信する。
宰相の娘が誰にもダンスにも誘われず壁の花にでもなっていたら、体裁も悪いし私が傷つくと配慮してくれたに違いないと考えが思いいたった。
「え?」とザッツは眉をしかめる。
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