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009.ローディ王子との再会
「何を言ってるんだ?」と、突然、怒ったような大声をあげたザッツにイリューリアはびっくりして怯えた。
「あ!も、申し訳ありません!私…何か失礼を…?」
イリューリアは、萎縮した。
(ああ、私はまたしても気づかぬうちに何か嫌われるようなことしでかしたのだわ!)と、血の気が引いた。
「ああっもうっ!違うっ!貴女に怒った訳ではない!」
ザッツは、青ざめたイリューリアの反応に慌てて取り繕おうとし、またつい大きな声をあげてしまった。
まるで、第三者が見たらザッツがイリューリアを虐めているように見えるに違いなかった。
咄嗟にイリューリアは後ずさり、再びザッツがイリューリアの腕を掴み自分に引き寄せようとした瞬間だった。
「叔父上!嫌がっているではありませんか!おやめください!」とローディ王子が陰から飛び出てきた。
案の定、物陰から様子を窺っていたローディ王子には叔父であるザッツ公爵がイリューリアに無体を働いているように見え、イリューリアを助けようとして割って入ってきたのだった。
「え?誰?」イリューリアがその声に振り向く。
そこには見知らぬ貴公士がいた。
「イリューリア!私が分からないのか?」
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