708人が本棚に入れています
本棚に追加
010.国王からの頼み事---01
イリューリアは、バルコニーから広間に戻ると国王両陛下と父に挨拶をし、屋敷へ戻ると伝えた。
「イリューリア、クーガン公爵と話がはずんでいたのではなかったのか?まさか、クーガン公爵はバルコニーでお前に無体なことでも?」と心配そうに父であるカルム・エルキュラート公爵が問うとイリューリアは、とんでもないと首を横にふった。
「まぁ、お父様。私と王弟殿下がバルコニーの方へ行ったのをご存じでしたの?王弟殿下…クーガン公爵様は無体な事などなさっていませんわ…でも、お父様以外の男性の方と二人きりなんて…戸惑ってしまって私…」
「なんだ、そんな事を気にしていたのか?クーガン公爵ならば身分も申し分ないし、二人きりと言っても広間にはこれだけの人がいるんだ。それに彼とは親戚にも当たるのだから、もう少し親睦を深めても問題はないのだよ?」
「それは、そうかもしれませんが…」
イリューリアは、知っていたなら止めてほしかったのにと少しだけ父を恨めしく思った。
でも父が止めなかったという事は、クーガン公爵様は自分の相手として父の許容範囲の方なのだろうとも理解できた。
最初のコメントを投稿しよう!