708人が本棚に入れています
本棚に追加
思えば、ローディ王子との婚約もあの時、母の死に嘆いていた自分を励ます為の意味合いもあったのだろうと思い当たった。
そう、王妃はイリューリアの生母エマリアとはとても仲が良い親友だったのである。
エマリアの娘である自分を王子と結婚させることで娘として、ずっと側で見守っていきたかったのだろう。
「王妃様…もったいないお言葉を…あ、ありがとうございます」
「まぁ、そうは言っても最初から無理をする事もあるまい。今日のところは、社交界デビューも無事終えた事だし、望むなら退出を許そう。ただ、少しだけ私の頼みを聞いてもらえまいか?」
国王はイリューリアにそう言うと、カルム(エルキュラート公爵)と視線を交わし、にゃっと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!