001.婚約破棄

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 私が悪い訳ではないけれど私より綺麗な人は山ほどいて、王子様が目移りしてしまうのは仕方がない事なのだと、お父様や召使たちが心で()()()()()()()()()()()()()()()()()も教えてくれた。  お義母様だけが()()()()を教えてくれる。  私が、お父様や召使たちが()()()()()で褒めたたえるのは私の為に良くないと本気で心配して、とても辛そうに『真実』を教えてくれたのだった。  王子様は、国王陛下や父の思惑で勝手に決められた婚約者が平凡以下の娘で嫌気がさしていたのだと。  それでもまだ、小さな頃は良かったが、学園に通いだして私などよりずっと美しい令嬢達をみて、私が平凡以下の()()()()()()()だと気づいてしまったのだと…。 「可哀想に」と、お義母様はハンカチで目元を抑えながら「私だけは味方よ」と言ってくれたのだった。  心も頭も重く考える事すら放棄して倒れそうな私に、お母様は「周りの人の言う事など聞かなくてもいいのよ。私だけは味方だから…」と繰り返し繰り返しまるで『お(まじな)い』のように囁いてくれた。  ***  あの時、あの突然の言葉…いくら私が平凡以下の見目のよくない娘だとしても、何故あそこまで嫌われてしまったのかとあれこれと考えた。     
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