708人が本棚に入れています
本棚に追加
それは娘の様に愛しく思っているイリューリアに少しでも外に目を向けるきっかけになればと思っての声掛けでもあった。
常々、自分の息子である王子との仲たがいのせいで引きこもってしまった従兄の娘を国王キリクアは、心配していたのである。
無論、案内役といえば、それなりのマナーや教養は、必要である。
お子様相手がメインとはいえ、親である公爵や公爵夫人ともそれなりの会話はしなくてはならない。
引きこもっていたとはいえ、イリューリアに、それなりの教育と身分、嗜みを備えているからこそ成り立つ話である。
その点ではエルキュラート家の家庭教師達は王家から紹介された者達であり、その教育基準は学園に通った以上の成果であると報告されていての事である。
(案内役などというから身構えてしまったけれど、要するに子供達の遊び相手という事?。それなら私でも大丈夫かもしれない…それに何といっても憧れの伝説の国、お祖母様の祖国からのお客様!お目にかかってみたい…)
そう思ったイリューリアは、その話を受ける事にした。
「陛下、そういう事でしたら私、自信はございませんが、誠心誠意がんばりたいと思います」
イリューリアははっきりと自分の意思でそう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!