709人が本棚に入れています
本棚に追加
「…っ!」ローディ王子はこの叔父の遠慮もクソもない言い様にぐうの音もでなかった。
ザッツは、例え相手が王であろうが王子であろうが容赦ない物言いをする。
しかも王子である自分を”お前”呼ばわりである。
相手の身分によって態度を変えることがないのは不敬にも思えるが父である国王が逆にそれを信頼できると許容しているので自分がそれを咎める事もできない。
昔一度、国王である父にザッツの自分への物言いが偉そうで不敬だと言いつけると逆に「其方の方こそ叔父に対する敬いを持て」と逆に叱られた事があった。
父も認めるこの男がローディ王子は正直苦手だった。
自分の方が身分も高く容姿も整っているのに、この自信過剰で尊大な男に敵わない…そう思わされてしまうのである。
これが他の者なら牢にぶちこんでやるのに!内心、憤慨していた。
「少なくとも、お前が直ぐに自分の気持ちを告げていたなら、お前は節操のない奴だと嫌われたとしても彼女自身があれほど引きずるほど傷つきはしなかった筈だ!お前の最大の過ちは、彼女が誤解したまま、謝る事を諦めて放置した事だ!」
「それは…そう…だけど」
ローディは過去を振り返って思った。
最初のコメントを投稿しよう!