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あの時は自分が本当は好きなのに会ってもくれない彼女に逆に腹立たしい気持ちも少なからず持っていた。
嫌われたと落ち込みもした。
自分の方が可哀想だとすら思っていたかもしれないと、あの時の想いを思い返した。
そしてそのまま逃げるように隣国に留学に出たのである。
「まぁ、それにしたって、あれは異常だけどな?お前の事がきっかけにしても、あんなにも美しいのに自分を冴えないとか壁の花になってしまうとか思う事なんてあり得ないだろう?」
そう言う叔父の言葉にローディ王子は驚いた。
彼女は自分に怒って嫌って自分を避けているのだとばかり思っていたが違うのだろうか?
そう言えば彼女は私ごとき者が王子殿下のお目を汚してしまい申し訳ない…とか何とか、いやに自身を卑下したような言葉が並んでいたような…それこそ彼女に似つかわしくない事を言っていたような気がする。
「そんな事を彼女が?まさか?本当にあり得ない!彼女が姿を現わした時の周りのざわめきは、皆彼女の美しさやはにかむ姿の愛らしさを賞賛する声で溢れていたのに?」
「…彼女の耳には届いてなかったようだな」
「僕のあの言葉が原因で?大嫌いだなどと…本当は露程も思っていなかったのに…」
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