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「まぁ、あの猛将で知られる将軍?クーガン公爵様が?それは…まぁ…よかったわ!」と、何故か若干、残念そうにも取れる口調になるマルガリータにメイド達は眉をしかめる。
「ま、まぁ、あの方はお父様の従弟ですものね、きっとお父様が貴女がみじめに一人きりで壁際にいる事の無いよう頼んで下さっていたに違いないわね。本当によかったわ!本当に心配していたのよ?それでなくても社交界デビューが一年遅れて他のデビューの皆さまより出遅れてしまっているし…他のご令嬢達に見劣りして虐められていないかと心配で心配で…」
この言い様には、側で控えていたメイドのマーサやルルーは、何を言いだすのだと耳を疑った。
うちのお嬢様に限って他の貴族令嬢に見劣りなんぞする筈も無いではないか!…と。
しかもお父上がダンスの相手も頼まないと誰も相手にしてくれないであろうと心配していたとあからさまに言っているのである!
心配していると言いながら、先ほどから失礼極まりない言葉の連発にその場にいるメイド達は眉間に皺をよせつつも口出しもできず俯き加減に静かに怒っていた。
この義母マルガリータは、ことさらにイリューリアに優し気な口調で語りかけるが、基本的にイリューリアを侮っているような言葉が多いのである。
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