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奥様はそれ以来、公の場には一切、出させてもらえてはいない。
(あれは召使一同英断だったと心の中で皆、拍手したものである。)
しかし肝心のお嬢様の心は無垢で、まだ幼く義母のマルガリータ様になついていた為に自分のせいでお義母様が追いやられたのだと、またも自分を責めて嘆いていらした。
賢いはずのお嬢様なのに、無垢すぎるのか何故だか、あの義母の悪意には気づかない。
まるで何か暗示か呪いでもかけられているようだと召使たちも思っていた。
まぁ、呪いなんて物語の中だけの話だろうけれど…と思いながらも、純真無垢すぎる自分達のお嬢様が哀れでならなかった。
「お義母様、いつもご心配かけて申し訳ございません。でも私も公爵家の娘として閉じこもってばかりではいけないと思ったのです。こんな私でも自分の悪いところはなおそうとこの三年間ずっと頑張ってきましたし…国王陛下や王妃様にまでお気遣いを頂いて…来月、行われる園遊会でお祖母様の祖国でもあるラフィリル王国からの賓客の案内役を仰せつかったのです。私、これを機に少し前向きに頑張ってみようかと…」
「まぁあ!何てこと!とんでもない!今までろくに外にも出てこなかった貴女がいきなり案内役なんて!無理にきまっています!」
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