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カルム様がエマリアに好意を寄せているのは誰の目にも明らかで身分的にも公爵家と伯爵家、申し分ない良縁だとあっという間に婚約が調い、エマリアが学園を卒業と共に二人は結婚してしまった。
マルガリータはエマリアが大嫌いだった。
その見た目の美しさと分かりやすい優等生ぶりが鼻について仕方がなかった。
何が気持ち悪いって、誰も彼もが彼女の事を褒めたたえるのである。
挙句にあんなに苦労してやっと口を聞けるようになったカルム様の心も何の苦もなく手にしたそんな彼女が憎くて仕方なかった。
そして、そんな時、実家の父から渡された黒く美しい宝石…。
それは、実家の商売で闇取引していたご禁制の『黒魔石』というものだった。
父曰く、『これは望みを叶える魔法の石だ』との事だった。
魔法…そんなもの迷信で実際にある筈も無い!
そんなのは絵本の世界の話である。
そんなお呪いめいた魔石の力など当初、信じてはいなかったマルガリータだったが、その石は美しく自分を誘った。
気づけば、その石にマルガリータはいつも自分の不満や憎い相手の事を呪う言葉を呟くようになっていた。
「カルム様の妻の座は私の物のはずだったのに…」と。
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