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001.婚約破棄
「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」
十二歳の誕生日、大好きだった憧れの人にそう言われた。
私はエルキュラート公爵家の一人娘イリューリア。
初恋の君は、この国デルアータの王子ローディ・デア・アルティアータ様…。
当時の私は、ローディ様のその言葉に深く傷ついた。
何故なら私は、それが国や親の決めた結婚だとしても…私はお慕いしていたから…。
それが本当に恋とか愛とか言われるものだったかは、まだ幼かった私にはわからなかったけれど、大好きな憧れの王子様に言われたその言葉で私はすっかり自信を無くしてしまった。
その後、何度かは王城に父のお供で行くことがあったが、ローディ様に嫌われた私は、まともにローディ様のお顔をみることも出来ず俯いていた。
ギクシャクしていた雰囲気は、父の公爵や国王夫妻にも伝わり婚約は無かったものとされた。
そう…婚約は破棄されたのだった。
子供達の未来を憂いた大人たちは、そこまで合わないのであれば致し方ない…と判断したのである。
そして三年…。
私は十五歳になっていた。
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