漂流

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 権平が島へ漂流してきて、一ヶ月が経過した。その日は朝から悪天候で、暴風雨が吹き荒れていた。洞窟入口から中央あたりまでは、床が水で浸食されてしまったため、権平と少女は奥の方へと避難していた。 「おーおー、すげー雨だな」 「うー……」  今日は、洞窟からでられないのであろう。不安そうな顔をしている少女の頭を、権平は軽く撫でた。 「まあ、一日ぐらい飲まず食わずでも大丈夫だろうよ。その代わり、明日はたくさん飯食おうな」 「あー!」  少女は、肯定の言葉を発した。最近では、大体何を言っているのか分かるようになってきた。 さて、仕方ないから今日は一日中、このガキとお喋りでもして過ごすかと思った矢先、権平の背筋が凍った。聞き覚えのある轟音が聞こえたからだ。  その音は知っている。それは、権平の体、いや魂にまで傷をつけたのだ。ちょうど一ヶ月前、突如として姿を現したそれは、貨物船を蹂躙し、海の塵へと変貌させた。  ――巨大ハリケーンが、やってくる。
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