第2章 加速

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 たしかに、佐伯たちほどではないにせよ、直央に対するちょっとした嫌がらせはある。御堂や祥大の目が届かない、女子トイレや体育の時間などに。  ただし、他人からの悪意はもとより、好意にすら鈍感な直央本人が、それに気づいているかどうかは微妙だが。 「ま、あの子は大丈夫。もうすぐ、あれがあるから」  真璃花が、祥大を安心させるように言いきった。 「あれって?」  不思議そうにたずねる祥大に、 「――クラスマッチ」  あたりまえのように言うと、真璃花は極上の笑みを浮かべた。
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