第3章 衝突

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(――だって、責められないよ)  内心、直央は思っていた。  この後、時間がたったら、腹が立ってくるのかもしれない。御堂に対して。今だってもちろん、王子ファンにされたことを思い出すと頭にくるし。  だけど。 (あんな顔、見たら)  今日、この部屋でずっと見てきた。御堂の暗い目の色と、ほんのわずか、意思に反してひきつる口元。  彼が王子ファンと自分を意のままに動かそうとしたこと。人の気持ちをもてあそんだこと。それは確かに、やってはならないことで。  賢くて人望もある彼が、それをわかっていなかったとは、到底思えない。  わかっていて、それでも。どうしても。 (他に、みつからなかったんだよね、きっと。方法が)  頭と心の、折り合いのつけ方が。気持ちの落としどころが。そんな風にしか、きっと。  詳しい事情は、わからないけど。御堂は決して、楽しんでやっていたわけじゃない。  軽い口調とは裏腹に、それだけは苦しいほど伝わってきた。  ――御堂も、傷ついている。  だからこそ、もうやめてほしい。あんなこと。
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