第1章 出逢う季節

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 中学は違うが、塾で同じクラスだった、中園(なかぞの)祥大(しょうた)くん。  ――真璃花の言う通り、とまではいわないけれど。  さっき、校門を入ってすぐの掲示板で、同じクラスに彼の名前をみつけたとき。  心臓が止まるほど、嬉しかった。  この1年間、塾で週に4日同じ時間を過ごした中園くんは、爽やかで、いつも友だちに囲まれていて。  二人だけで話したことはないけれど、すごくいい人なのは、離れた場所から眺めているだけでもわかった。  それになにより、1年前、新中3生クラスになったばかりの春休みの、あの日の出来事。 「……」  思い出すだけで、直央は今も胸が熱くなる。
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