90人が本棚に入れています
本棚に追加
/366ページ
第2章 加速
「あー、急いで食べて、数学やらなきゃ」
昼休み。机の上でお弁当を広げた直央が、ペットボトルのお茶をひとくち飲んだ。
「え? ノート提出、来週でしょ? 余裕じゃない?」
向かいで真璃花が首をかしげる。
「今度の日曜、先輩たちの試合なの。今日しかオフないから、今のうちにやっちゃわないと」
キャップを閉めながらこたえる直央に、
「いつも忙しそうだね、弓道部」
真璃花があきれ顔になった。
「でも正直、あんなの面白い? って思っちゃうけど。的に当てるのは先にしても、まだ弓も持たせてもらってないんでしょ?」
「んー、まあ。でも私、意外と嫌いじゃないんだ。ああいう基礎練習」
うなずいて、直央は唐揚げとブロッコリーをテンポよく口に放り込む。
最初のコメントを投稿しよう!