0人が本棚に入れています
本棚に追加
あーもーやだ!
心の中で叫びながら、ソファにかばんを置く。
荒立った気をお店のゆったりとしたBGMで穏やかにしながらメニュー表を眺める。
今月の運勢はいい方だった。なのに、学校もバイトもやりたいことも全てがうまくいかない。
最悪。再び心の中で叫んだ。
何も考えずに、ぃつも行く喫茶店に逃げ込むように入ったものの、手持ちのお金があまりない。これで頼めそうなものは安めのドリンクぐらいだ。
迷っていると、できたてのコーヒーをもった店員さんが通り、匂いがこちらまで漂ってきた。
寒いし、温ったまりそうなコーヒーにしよう。ブラックは飲めないから牛乳入りの方で。
何も考えないように虚無の状態で待っていたら、若い男の店員さんができたてのカフェオレを運んできた。よほどのアホ面だったのか、店員さんに微笑まれたのが死ぬほど恥ずかしい。
「ごゆっくりどうぞ」
広げたノートやプリントを横目に、店員さんは微笑みながら去って行った。
程よく冷ましてからカップを持つと、じんわりと温かさが手から伝わってきた。
一口飲むと、温かく、マイルドな味が広がった。食道を通り、胃を温める。イガイガした気が落ち着いていった。
カウンターを見ると、さっきの店員さんと目があった。微笑み返され、ドキッとした。
もしかして、入ってきたときから見ていたのかもしれない。
きっとこのカフェオレの温かさは、マシンが作ったものだけじゃない。
じっくりと手から伝わる温もりを感じながら、ゆっくりと最後の一滴まで飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!