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釣りの話
子供が川辺に座り込んで釣りをしていた。
釣りと言っても本格的なものではなく、小さな餌を糸にくくりつけて垂らしているだけだ。懐かしい。自分も小学生の頃やっていた記憶がある。あの川はザリガニがたくさんいて面白いように食らいつくのだ。子供は赤い餌を引きちぎって括ってる。
今思えば残酷かもしれないが、釣り上げたザリガニを千切って餌にしていたこともあった。子供の無邪気さは時に残酷だというが、その通りだ。
何となく釣りをしている子供に近付いた。バケツの中にはザリガニが何匹も入っている。
「すごいね、よく釣れるもんだ」
うん、と頷く子供の手は赤かった。
微笑ましい限りだ。こうして子供の頃から自然に親しむことは貴重な良い体験となるだろう。
むせかえるような血の臭いは気のせいだろう。
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