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 それから時間が経ちました。  大きな船がやって来て、みんなの暮らしが変わります。ぺらぺらな服を着ていた人間達は、ふりふり飾りの揺れる服を着るようになりました。夜になると妖怪達が遊んでいた暗闇も、不思議な明かりに照らされて、人間の居場所になりました。  そして狐は立派な大人になりました。 「神様、神様、見てください。どうです立派な人の子でしょう」  澄み渡った空のように透き通っていた声も、今では深い海のように奥行きのある声です。その声は神様にとって、とても心地いいものでした。  呼ばれて外に出た神様を待っていたのは、すらりと背の高い若者でした。 「ああ本当だ、立派なもんだ。これなら帝大に潜り込んでも誰も気付かないだろう」 「本当ですか。うれしいなあ」  耳と尻尾が飛び出ることはありません。 「神様、神様。僕をあなたの弟子にして下さい」 「突然何を言い出すんだ」  狐は変身を解いて神様に擦り寄ります。大きな狐は九本の尻尾をゆらゆらさせながら言いました。     
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