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「飲み物取ってくる。またお茶でいい?」 「うん」  今日は引き留めて、夕飯も一緒に食べようと計画している。親の帰りが遅いから、ファミレスに行こう。とか。  小休止を挟んで、またテスト勉強を再開する。せっかく遊び道具を用意しているというのに、案外自分たちは真面目みたいで、そのうちにベランダの外がどっぷり暮れて暗くなっていく。  教科を宵の得意な英語に切り替えて、暗記した文法の出し合いをしていた。  いつからか宵の肩が小さく揺れて、腰を浮かしたり落としたり、しきりにもじもじとセーターの裾を引っ張るような落ち着きのない仕草をしている。 「宵? なに、足痺れた?」 「……えっとね、森」 「なに?」 「…………トイレ、行きたい」 「行けよ。あ、場所わかんない?」 「…………わかんない」  そう言えば、うちを訪ねた宵がトイレを借りたことはなかったかもしれないと思う。 「我慢してたのかよ。こっち、着いてきて」 「………………ぅん」  俯いた宵の返事は消え入るようで、いつまでも立ち上がろうとしない。 「宵?」  怪訝に思って、へたり込む彼を覗き込む。 「……ぁ」  か細い声を上げた宵のスボンに、濃い染みが浮かび上がる。  何が起きたのか悟らないわけにいかなかった。     
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