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「どっちが」
囁き合いながら、お互いの先端を近づける。硬く膨らんで濡れた先端を、キスするみたいに触れ合わせて、
「あ……」
ほとんど同時に漏らしたため息が重なって混じる。
それから二人は無言で、自分を扱き合った。
「あっ」
さらさらの先走りが伝い、やがてねっとりと濃いのが溢れ始める。時々擦り合わせたりつつき合ったりしながら、どんどん硬くなっていくそれを解放に向かって駆り立てる。
「しん……っ」
夢の中で頭の中で何度も見た顔より、何度も聞いた声より、現実のほうがずっとずっと鮮烈だ。ふ、ふ、鼻息が上がり、は、は、苦しく喘ぐ。燃え上がるほど熱い。
「いくっ……」
「俺もっ……」
弾けた宵を追いかけるように、森もどろりと吐き出した。
はあ、はあ、はあ、むせ込みながら空気を求める。
「……気持ち、よかった?」
「…………うん」
真っ白に汚れた手のひらを見せ合って、どちらからともなく指を絡める。
「しょう……」
「しん……」
しっとり汗ばんだ宵の額に、額をくっつける。
鼻先が交わり、唇が重なった。
ちゅう、と啄み、離れる。
「なあ、宵」
「ん?」
「好き」
ああ、言ってしまった。
目を伏せた森の額に、こつん、もう一度額をぶつけて。
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