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「えっ、」
嬉しいけど、思わず聞き返した。だって、
「板長になるまでしないんじゃなかったの?」
「そのつもりだったけど…お前、家族が欲しいんだろ?だったら、すぐ俺と家族になればいい」
穏やかに微笑われて、また涙がでそうになった。
「…良いの?」
「こっちが訊きてえくらいだよ。俺みたいなのと結婚してくれんの?」
悪戯小僧みたいな顔で訊かれた。私はこの顔が大嫌いだった。いつも意地悪をされて、泣かされて。だけど今は愛しくて堪らない。答えなんて、もちろん決まっていた。
「うん、する!嬉しい!」
首にギュッと抱き付いて全体重をかけたら、「重い、苦しい」と身体をタップされた。腕を緩めると、彼が笑った。
「まさかパンツ一丁で、身体の上に乗られながらプロポーズするとは思わなかったよ」
「ホントだね、」
つられて笑う。と、不意に目が合った。後頭部に手が触れて、引き寄せられる。一瞬だけ、唇が触れ合った。
数センチの距離で、また目が合う。得意の熱い視線で見つめられて、身体が動かなくなった。何度も食むみたいにそうされて、心臓が壊れそうな音を立てる。久しぶりで、恥ずかしい。
舌も攫われて、頭がぼうっとした。力が抜けて、彼の身体にまた体重をかけてしまう。
「…このまま、抱いて良い…?」
艶っぽく囁かれて、ゆっくり頷いた。
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