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「父さん、母さん、」
乾杯をしたら、秋兄が切り出した。
「言おうと思ってたんだけど、花純ちゃん、6週目だって」
「えっ!?」
声を上げたのは、春兄と夏兄だった。
「い、いつの間に!?」
「このムッツリスケベめ!」
夏兄が冷やかしたら、母さんがその頭をハタいた。
「そう、おめでとう!じゃあ今日はお祝いね!」
ニコリと微笑う両親の奥で、上の兄2人が何やらコソコソ話していて。多分いらない事を話してるんだろうな、と思った。
「冬真は?」
不意に、秋兄に話を振られた。
「まだ結婚しないの?」
「!」
うちの兄弟は3人共、比較的に結婚が早かったから、俺が遅いみたいになってるけどさ。一般的に言えば、まだ全然しなくて良い歳だ。玲だって、やっと夢が叶ったワケだし、きっとまだそんなことを考えては居ないはず。
「…俺はまだ、かな」
「するなら玲ちゃん、とは思ってるんだろ?」
「それは、まあ」
すると夏兄が茶々を入れる。
「ならさっさとプロポーズすりゃ良いだろ、」
それを聞いて、母さんと伊織さんが「夏輝がそれを言う?」と笑っていた。
「そう言えばさ、どうやってプロポーズしたの?」
知らないうちに、兄達は次々と婚約した。詳しい話はよく知らない。少し、気になっていたのだ。
「俺、パンツ一丁」
夏兄が得意気に言うと、伊織さんがハタいた。
「パンツ一丁?何それ!」
「俺が風呂上がりにパンツ一丁で居る時に伊織が来て、で、言った」
「何でそのタイミング?」
すると春兄も、話題に参加してきた。
「俺は逆プロポーズだったから。華恋の、」
「ちょっと、春!」
「そうだろ?結婚してあげる!って上から目線で、」
何だそれ。全然、参考にならない。
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