次男・夏輝①

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仕事を終えて、従業員が部屋に戻ったのを確認して、俺は彼女の部屋に向かった。扉の前に立ち、部屋をノックした。 ーーーコンコン 「はーい!」 返って来た、明るい声。 「…俺だけど、」 すると、部屋の中が静まって。暫くその状態だったので、このまま中に入れてくれない事も覚悟した。 だけど、そうっと音もなく扉が開いて。寝巻に身を包んだ彼女が姿を現した。すっぴんで、髪が濡れている。 「…何?」 「ちょっと、話したくて」 こんな会話さえ久しぶりで、妙に緊張していた。彼女を空き部屋に連れ込んで気持ちを伝えた、あの日よりも。 「何の話?」 「…とりあえず中に入れてくれね?」 あまりにも彼女の態度が冷たくて、嫌な汗をかいていた。心臓も、変な音を立てている。 彼女は暫く悩んだ様子だったけど、 「…どうぞ、」 戸惑いながらも、中に入れてくれた。
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