次男・夏輝②★

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「…もしかして、夏輝と喧嘩してる?」 夏輝が部屋に来た翌日。団体様の宴会の片付けをしている最中、女将さんに言われた。 喧嘩、と言うよりは、一方的に避けている。 そんなことを言えるはずもなく、 「…はい、まあ」 と、曖昧な返事をした。 「あの子、昔は遊んでたし、今もバカだけど、根は良い子よ?いつも真っ直ぐだし、一生懸命だし」 「…それは、分かってます」 「なら良かった。何か気の利かない事でもしちゃったのかもしれないけど、悪気は無いと思うから許してあげて?」 ニコ、と微笑われたけど、複雑な気持ちだった。 別に、夏輝が悪いわけじゃない。私が勝手に嫉妬して、勝手に惨めになってるだけだ。でも「家族が居ないから」なんて話をしたら、重く思われそうで。そんなこと絶対に言えない。 女将さんは食器を盆に乗せながら、「ホント、あのバカ息子は何をしでかしたんだか」と呟いている。チクリ、と胸を痛めた。
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