純粋無垢

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真紀がそう言って、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。 少し顔が近い、そう感じた時だった。  ドンッ。気が付いた時には私は覆いかぶさるようにして、真紀を床に押し倒していた。 「え?」 焦った様子の真紀に、分かったよ、と私は小さく微笑む。 「分かったよ、私は真紀が好き」 困惑した様子の真紀の顔を、私の涙が濡らす。 そして視界はぼやけ、真紀の表情さえぼやけて見えてしまう。 恋や好きという感情を知った時。私は同時にその苦さまでをも、一度に知った気がした。  
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