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思わず大きな声を出す真紀とは対称的に、
「なんか、別にどこにも惹かれなかったの。確かにイケメンだったけど、それだけでは別に好きにならない。第一、今までその人と話した事は無かったし、その人の存在もその時に初めて知ったもの」
私はそう淡々と答える。
その口調とは裏腹に、膝に乗せた拳は、机の下でプルプルと小刻みに震えている。
「……もう十六歳だよ?それなのにまだ人を好きになった事が無いだなんて、若菜もだいぶ珍しいよね」
私の返答に真紀は少し首を傾げながら、そうバッサリと切り捨てる。
十六歳。女の子として生まれて十六年目。
周りの女の子達はみんな、好きな子や気になる子の一人はいるという、そんなお年頃。
真紀の言う通り、私はまだ一度も誰かを好きになった事が無い。
そんな私は、周りの女の子達からは珍しいものとして見られてしまう。周りと、違う。
それは私にとって、最大の不安要素だった。
「それなのによくもまあ、私の恋バナに月二で付き合ってくれるよね」
不思議そうに私を見つめる真紀に、
「興味はあるの」
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