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純粋無垢
「若菜は、好きな人はいるの?」
ふと、真紀が私に尋ねてくる。どこまでもまっすぐで、澄んだその瞳。
恐らく、素朴な疑問なのだろう。それに私は、苦笑いを浮かべながら答える。
「私は、いないよ」
「ええー?これじゃあ、恋バナの意味がないよー。私の恋バナばっかりじゃ、つまらないもん」
そんな私に、真紀はつまらなそうに少し口を尖らせる。
ごめんね、とすかさず胸の前で両手を合わせる私に、
「つまんないなあ」
真紀はもう一度、そう口を尖らせる。そんなの、私が一番よく分かっている。
何気ない真紀の一言が、私の胸にチクリと刺さった。
「若菜って上品で清楚だし、男子から結構モテるのにね。こないだも、お昼休みにサッカー部の先輩に呼び出されていたじゃない。結構イケメンだったのに、あの人はどうしたの?」
私の話をどうしても聞き出したいらしい真紀が、私に話を振ってくる。
いかにも興味津々な様子で、私を見つめてくる。キラキラとした瞳。
それを見て、私は少し申し訳ないような気持ちになりながら答える。
「告白されたんだけど、断った」
えー、と途端に真紀はつまらなそうに口角を下げる。
「どうして?勿体ないじゃん!」
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