代わり映えしない、愛しき日々に

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「ふぅ……」  ちょっと疲れたから、息抜きに外歩いてこようかな。  大きく伸びをして、ワーキングチェアから立ち上がる。テーブルの上に置かれたタブレットPCの電源は一応切ってある。まだ使う用事はあるけどキリのいいところまで書けたし、そういう区切りの意味で切っておきたいタイプなのだ。  別にどこかレストランとかカフェに行くわけじゃないから、手短に最低限の防寒対策だけして、部屋の外に出た。  うぅ、寒い。  冬の夜空は澄んでいて、普段だったら全然見えないような星だって見える。けれど、1番厄介なのはこの寒さだと思う。 「昔はこれくらいの寒さ、なんでもなかったんだけどなぁ」  なんとなく年齢を意識して悲しくなりながら、団地の階段を降りて外を歩き始める。外はとても静かで、どこか非日常の色を帯びていて、少しだけ気持ちが(たかぶ)った。
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