はじまり

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はじまり

一年間好きだった人にフラれた。 おとといの体育祭、その場のノリにまかせて好きな人を呼び出し、告ったものの、あたしの恋はあっけなく終了した。 告る前からフラれる気がするなぁとは思っとったけど、いざフラれてみると、一瞬にしてあたしの心を失恋の病が乗っ取ってしまった。これでもかってくらいの涙が次から次へと溢れ出てくる。 協力してくれた友達に励まされ、なんとか振替休日は乗り切ったが、まだ心は痛い。 あたしは図書室の扉をゆっくり開けた。 ギーッという重そうな音が図書室内に響き渡っただけで何の反応もない。今、司書の先生は不在のようだ。 朝の図書室はしーんと静まり返っている。その静けさがあたしの気持ちを息詰まらせて、苦痛に感じさせる。 いつもは静かで、かすかに甘い本のにおいが漂う図書室がたまらなく好きで、居心地良いのに…。 はーっと深いため息をついた瞬間、再び扉が開く音が図書館内に響き渡った。 「あ、」 目が会った瞬間、二人の声が同時に重なった。 あたしよりもちょっと身長が高いくらいで、くっきりした顔に短髪の男子…。そこには部活の後輩君が立っていた。本とか興味無さそうだから図書室に来るなんて意外だ。     
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