社畜の彼

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 今日は一日休みだと思うと、安心して深い眠りに落ちた。そんな俺を再び起こしたのは、しつこく鳴り響く電話の音だった。 「……もしもし?」  相手も確かめずに、目を瞑ったまま電話に出る。この時の俺は、不機嫌か眠たいのかどちらか分からないが普段よりずっと低い声をしていた、と後に言われた。 「…………あのさ…」  だから、第一声が出るまで少し間があったようだ。 「?」  半分以上眠った頭では、相手が誰だか分からなかった。 「何で来ないの?」 「!!!」  その瞬間、目が覚めた。そして、全てを理解した。 「ごめんごめんごめんごめん…」  スマホを耳に当てながら、片手でパジャマを脱いでいく。 「来ない理由聞いてるんだけど」 「すぐ行く!今から出る!てか、今何時?」  脱ぎ散らかしたパジャマを踏み荒らし、適当な服を引っ張り袖を通す。 「………10時半」  すでに30分の遅刻ーーー!!! 「ごめん!ほんとにごめん!!今すぐ行くから!もうちょっと待っててくれる?」 「もういい」 「待って!すぐ行くから!」 「ほんと、もう来なくていいから」 「いやだって、今日は一日…は無理でも、半日でも付き合うから…」 「いいから。家で寝てなよ」  そういい残し、電話は切られてしまった。  切れたスマホを改めてみると、ラインのメッセージが幾つも来ていた。電話に出る前にも、2件の不在着信。俺、どんだけ爆睡してたんだよ?
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