社畜の彼

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ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン…  布団に入って悶々とすること1時間。けたたましくインターホンが鳴った。 「はいはいはい!すぐ出るから、ちょっと待って!」 『居るのは分かっているから早く出ろ』と言わんばかりの煩さに、俺は三度布団から飛び出し玄関に向かった。 「おはよ。起きてた?それとも起こしちゃった?」  ラインの返信すらしてくれなくなった彼女が、目の前にいた。 「………夢?」 「何馬鹿なこと言ってんの。上がるわよ」 「ちょ…ちょっと待って!」 「何?」 「怒ってたんじゃ…ないの?」 「怒ってるわよ」  彼女は話しながら奥の部屋じゃなく、手前の台所に向かった。 「何すんの?」 「見ての通り、料理よ」 「何で?」 「うだうだ言って邪魔するなら、出来るまで寝てなさい」  話しながらテキパキと買い物袋から食材を出し、シンク下からフライパンと鍋を出す。 「うだうだって言うか…純粋な疑問」 「デートの約束も忘れるくらい残業続きで疲れてるんでしょ?寝てていいよ」 「それは…ほんとにごめん…」 「怒ってるのはそこじゃない」 「?」 「昨日も休日出勤だったんでしょ。体壊す前にしっかり休む!しっかり栄養も取る!」
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