あと5分!

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あと5分!

ピピピピ… だんだん音が大きくなる目覚ましを止める。 時計を見る。 「やった!あと5分眠れる」 ピピピピ… 再び目覚ましが鳴る。 今度は音が大きくなる前に止めた。 「もう5分たったのか?」 時計を見る。 「やっぱ、あと5分だけ」 再度目覚ましをセットする。 冬の朝は、暗くて寒い。 ただでさえ低血圧の私は、 朝がなかなか起きられないのに、 この時期は本当に地獄である。 ピピピピ… もう5分たったのか。 朝の時間の流れは本当に早い。 このふとんのぬくもりとさよならするのには本当に勇気がいる。 でも、今度こそいい加減起きなくては! 「えい、やぁ!」 私は気合いを入れる。 何とか起きたけど、 寒い!寒い!寒すぎる! 今度は慌ててコタツへ移動する。 足にふわふわしたものが当たる。 中を覗くとネコの白が一番暖かい特等席で寝ていた。 いいな。お前はずっとそこにいられて。 ずっとぬくぬく。 うらやましいぜ。 おっと、そろそろ急がねば。 遅刻してしまう。 今日の朝食はヨーグルトだけでいいや。 あと5分だけ。 今度はテレビの時計を見ながら、 コタツと白のぬくもりに浸る。 ああ、ずっとこうしていたい。 4分、3分、2分、1分,10、9、8、7…0! あっという間に5分が過ぎた。 やっぱりあと1分だけこうしていよう。 「あら、あんた今日は早いね。珍しく早起きじゃない」 後ろから母親が話しかける。 「え?そうかな」 「だって今日は会社お休みって昨日いってたじゃない」 「あーそうだった!」 なんてこったい。私とした事が!!! ムダに早く起きてしまったではないか。 「じゃあ、せっかくなのでまたふとんに戻ります。おやすみ」 そして私は心ゆくまでふとんのぬくもりに包まれて、 再び夢の世界へと旅立ったのであった。 しかしながら爆睡してしまったせいで、 再び起きたのは夜。当然眠れない。 そしてようやく明け方に眠くなり、 次の日寝坊するという悲劇が待っている事も知らずに、 私はぐうぐう眠り続ける。
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