エピローグ

2/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
少女は少し湿った土と落ち葉を踏みながら、僕の頭上から伝わる街灯、電線が伸びるトンネル入り口手前の街灯下で立ち止まった。一丁の拳銃を持って―― 「…………」 「…………」 拳銃――正確には、弾倉と銃身が一体化したリボルバーのフリントロック式、ペッパーボックス。 ――僕は、そいつを知っている。 右手にペッパーボックスを持つそいつは、特徴的なドリルとでも称しても決して間違いではない縦ロールの巻き髪を揺らし、深くお辞儀をした。流されやすいのが売りである僕も、釣られるように軽く会釈。 街灯の光によって照らされたそいつの格好は見慣れ見飽きた同じ学校のセーラー服を身に纏う。まつ毛は長く、眉毛は太くもなく細くもないがキリッと整えられ、頬はほんのり桃色に火照り、袖から見える爪は綺麗に手入れがされている。黒のニーハイと動きやすそうな運動靴がセーラー服と相反しているが、その辺りは顔補正ということでそこまで気にすることはない。 所謂、そいつは『可愛い』というランクの上位に立つ顔立ちと成り立ちと容姿を持っている。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。見返り美人も振り返るほどの別嬪娘、織田の坊主も退いた退いた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!