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アキの位置
午後の授業は選択課目で、アキとは別の教室だった。
そしてクラスに戻ると……アキの席に、アキがいない。いや、別に用事があるわけでもないのだけど。
でも、なんとなく教室の中を見渡して……。
「ぁ……」
アキが教室の後ろの方の席で、男子と喋っていた。
机に腰掛けて、楽しそうに。
「近い……」
声がこぼれる。私の口から。
アキと男の子の距離感が近かった。ただそれだけの、見たままを口にしただけだ。
彼女はただ、誰に対してもそうなのだ。
好きになってほしい。
誰にでも言ってるのだろう。私だから、というわけもない。
太陽とは、そういうものだ。
私は、何を期待してたのだろう。
彼女はまだ、私の体のことも知らないのに。
悲鳴が聞こえる、私の頭の中で。
私に触れて、激痛に叫んで、凍傷で変色した肌に絶望する声が響く。
近づくなと。触るなと。みんな、最後には手のひらを返した。
今回も、きっと何も、変わらない。
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