第1章 始まり

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「よし‥」 「君可愛いね! 俺と一緒に狩りにいかないか?」 レッドがそう考えてから小さく声を出してベンチから立ち上がるとそこに鎧一式を装備した男がレッドの前にやってきた。 「いや、結構だ。俺はこれからいろいろやらなきゃならないから邪魔しないでくれるか?」 「そんなこと言わないで一緒にモンスターを狩ろうじゃないか。友人が来れなくなって暇してるんだよ。そんな初心者装備のままやつを俺が手を貸してやると言ってるんだよ」 こいつ頭沸いてるんじゃないのか。 レッドが断わって、男の横を通り抜けようとするが男はレッドの前にまた立ち、そう言ってレッドの腕を掴もうとした。 「だから、いいって言ってるだろ! 邪魔しないでくれ!」 「ふむ。じゃあ、僕とPvPをしようじゃないか。僕が勝ったら一緒に狩りに行こうじゃないか」 レッドが怒りの表情で男の腕から後ろに跳んで避けながらそう言うと男はレッドにいきなりPvP申請画面を送りつけて来た。 「‥わかった。やってやる。俺が勝ったらこんご一切俺に話しかけるな」 レッドは勘違い男の発言や態度にイラっと来て、PvP申請を承諾したのだった。レッドと男の周りがPvP空間になると頭上にHPメーターが表示された。レッドと男の問答を周りも見ていたのかいつの間にかギャラリーができていた。レッドと男は広場の中央に来るとレッドは初心者用の短剣を抜いて構え、男は鉄製の大剣を構えた。装備は明らかにレッドの負けだった。 レッドは身構えたまま動かずにいると先に痺れを切らした男が大剣を構えながら走ってきた。 「じゃあ、僕から行くよ! ヘビィスラッシュ!」 男は大剣の初期アーツのヘビィスラッシュを放った。レッドはヘビィスラッシュの予備動作や癖をすぐに見極めて降り下ろされる大剣をひらりと左に避けてアーツを出した後の硬直時間に男に走り寄り、首に短剣初期アーツのピアーズ放った。短剣は淡い光を放ちながら男の鎧と兜の間を刺した。 「PvPでいきなりアーツの名前を叫びながら出すやつは初心者と変わらないよ。もう少し対人戦を学んだほうがいい」 「‥」 レッドはそう言って、口をパクパクさせている男の首に刺さっている短剣を両手に持つと右に捻った。それで男は死に戻りPvP空間が消えたのだった。
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